ベースやジャズ・アンサンブルの指導は、ジャズの普及という観点からもとても重要だと考えています。なぜなら、プレイヤー層が厚いことはもちろん、より深い楽しみ方をすればするほど、自分たちが演奏するだけでなく人の演奏を聴く楽しみや喜びも共有できると考えるからです。

例えば、野球やサッカーのような人気のスポーツには、ナショナル・チームやプロのリーグを頂点に社会人や子どもたちまでさまざまな層が活発に活動しているだけでなく、相互の交流も盛んに行われているように思われます。

ジャズにおいても、それぞれの地域のジャズ・クラブを中心にリスナーやプレイヤーが集まるということがとても重要だと考えます。

ジャズの習得には技術や知識の鍛錬が必要だという側面もありますが、やはり演奏がうまくいったときの幸福感や充実感はどのようなレベルであっても筆舌に尽くしがたいものがあります。それがプロアマ問わずプレイヤーにとってジャズをかけがえのない存在にしているものと確信します。

オフサイドのようなルールもなく、またチームメンバーも満足に揃わないサッカーであっても、夢中でボールを追うこと自体がとても楽しいことではありますが、徐々に上達するにつれてそれでは飽き足らなくなって、より本格的にプレイをしたくなるのが自然だと思います。

これはジャズにもいえることです。ただ、ジャズ人口は少なく、また見様見真似で学ぼうとしてもなかなかうまく行かないということも事実です。

私は、もちろん日々自宅で楽器の鍛錬に励み、また事例研究や採譜を通して音楽やジャズについての理解を深めようとしているわけですが、演奏現場において先輩からいただいた助言や、メンバーで試行錯誤したり葛藤したりするなかで得られた知識というものは、ほかの何にも代えがたいことです。

私はベースやアンサンブルの指導において、受講者や参加者がお持ちの技能や知識をさらに有効に生かすことで、より楽しく演奏できるようにお手伝いすることが大切だと考えています。表面的にうまく演奏することにとらわれず、メンバー同士の音楽的なコミュニケーションや相互にリスペクトしあうアンサンブルにおける社会性を重視することで、より音楽がいきいきとし、かつ演奏する者にとっても聴く側にとっても楽しいものになると考えて指導しています。

なお、詳しい指導内容については、レッスン仕事依頼アンサンブル指導)もご覧ください。