以前、コントラバスのルシアーの故チャック・トレーガー氏の著作を薦められて、関心のあるところを読んでいたら、コントラバスのエンドピン(正確には、エンドピンではなくエンドピンのロッドなのだけれども、以下、便宜上「エンドピン」と記す)は、木製がよいという記述を見つけました。

私は半信半疑でしたが、試してみることにしました。まずは、さまざまな素材のドラム・スティックを試すとよいということだったのですが、そのためには、それまでのエンドピンのソケットを、より直径の大きなものに交換する必要があります。

幸い私の楽器の場合、エンドピン(脚)ではなく、別に取り付けられたエンドボタン(バイオリンなどのような本来のエンドピン)のところにテールワイヤをに縛り付けるようになったために、弦をすべて緩めずにソケット交換できたのは幸運でした。

ドラムショップにスティックを買いに行ったら、「お前、ドラムに転向するのか」とからかわれて、事情を説明すると廃棄のスティックを持っていけ、ということで、数種類持っていきました。「一本ずつ持っていって、どうするんだ」と笑われました。

さて、トレーガー氏の著書によればエンドピンを木製にするだけで一般に音量は大きくなり、また樹種によって弦を交換する以上のインパクトがあるようなことが書いてありました。いくらなんでも誇張が過ぎるのではないかと、ほとんど疑ってかかっていたのですが、実際に試してみると確かに想定以上のインパクトで驚きました。

以来、私は木製エンドピンを使うようにしています。

エンドピンといえば、コンサートホールで演奏するときなどは、スパイクを立てることがあります。これも、インサートナットを埋め込んで、スピーカースパイクを取り付けることで対応しました。ただ、ジャズ・クラブの演奏ではそのようにして演奏する機会はそれほど多くはありませんが。

エンドピンの素材は、現在のところブラック・ウォルナットに落ち着いていますが、ずっと試してみたかったのが桐でした。

桐ではコントラバスを支えられるはずがないという理由で多くの木工職人さんに試作を断られたのですが、一人作ってくださる方がいらっしゃいました。桐は箏の材料であることからもわかるように、音響特性がよいとされています。桐のエンドピンがよかったという報告も耳にしたことがあるので、どうしても試してみたかったのです。

実際アンサンブルしてみたときのドラマーによると、ドラムの立場だと今ひとつ音がはっきり聞こえにくいということでした。桐のエンドピンはとても倍音が豊かなのですが、低域がやや物足りない印象があります。特に、ジャズのアンサンブルだと、ベースドラムやフロアタムはもちろん、ひょっとしたらスネアドラムあたりの中低域に負けてしまうのかもしれません。ただ、ピアノとデュオのような小編成で、比較的ベースがフィーチャーされるようなアンサンブルでは面白いかもしれません。

ラウンドバックの楽器とフラットバックの楽器では、魂柱の材質選びなどの調整の方向性が対極になることがあるという話も耳にします。私はラウンドバックの比較的大きめな楽器なのですが、エンドピン選びも、このような楽器の違いによって多少異なるということもあるのかもしれません。

この記事をお読みの皆さんもぜひさまざまな材を試してみてはいかがでしょうか。今、ニス塗りに使うシンナーが入手しにくいのですが、これが落ち着いたら、私も気になる樹種がいくつかたまってきたので、そのうち試してみようと考えています。